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2012年07月10日

ドル/円膠着状態の次の方向は円安の可能性

ドル対円の為替レートに,金利差が依然として有効だとしても,
説明力は明らかに低下しています.米金融緩和で米国長期金利の
下げ余地がなくなっているためです.

従来から国債の利回り格差として「10年物」「2年物」の2つが
言及されてきました.ただ,10年物の場合
「日米金利差が2.5%以上で安定している期間は円安」
が注目されたので,米国金融緩和により10年物利回りが2%台前半まで
低下してからは,2年物の金利差に注目が集まりました.

しかし今や米国の2年物利回りがゼロに近づき,金利差のごく小幅の
動きをあえてドル/円相場に結びつけるには,かなり無理が出ています.

また現在,ユーロ圏の混乱の中でドルも円も買われやすい状況にあり,
この点からもドル対円の値動きは当分小さいと予想します.

先日の米雇用統計は,FRBを思い切った緩和に動かすには十分ではなく,
マーケットの米景気への見方も,基本的には楽観的です.
少なくとも,日米欧の中で考えた時に,景気要因でドルを積極的に
売るという判断はしにくいと思います.

ましてこれから大統領選挙本番です.米国では,景気のいい話が
先行するでしょう.

一方,対ユーロでドルと円の動きを考えると,ドルはユーロに対して
久しぶりの高値圏にあるとはいえ,歴史的に見ればまだ高い水準
(境目は 1ユーロ=1.20ドル)にあります.
その点,1ユーロが100円割れの水準は,歴史的にかなりの円高という
実感を持って受け止められており,ユーロが落ち着いてきた場合は
円に対してより大きく反発する可能性があります.

その時,ドル対円が膠着状態を脱して,やや円安方向に動き出すことに
なりそうです.

(2012/7/10)
posted by Globe at 16:09 | Comment(0) | 為替相場予想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月03日

「ドル離れ第2幕」?

[ドル売り] ブログ村キーワード

米国の債務上限引き上げが何とかまとまり,ドル円も78円台まで
反発しましたが,その日のうちに76円台.今はまた77円台の
推移ですが,ドル売りは根強いです.

しかし,売り手はかなり無理しています.
4月からのドル売りは最終局面に近いように見えます.

「債務問題はとりあえず先送りした.しかし格下げはまだあり得る」

昨日から今日ドルを売っている人はこう言います.
また,財政赤字削減は景気抑制要因として働くことも事実です.
しかし債務問題に続く格下げ懸念によるドル売り「第2幕」は
短命におわると見られます.

考えてみましょう.
米国債のAAA格はどこまで下げられるのでしょう?
そして,仮にAA格(AA+,AA,AA-)になったら,米国債の大口
保有者である中国や日本は,一斉に米国債売りに走るでしょうか?
アメリカとギリシャは同じではありません.

また,財政赤字の削減プロセスの間にも,米国景気には好不調の
波があると考えるのが自然ですが,米国の景気がさらに減速した
局面で,それは米国だけのマイナス要因として働くのでしょうか?
米国市場からの收入が減る国は欧州,アジア(日本含む),
中南米など世界中にあります.

ドルを無理して売っている人は,為替は通貨の相対的な価値だと
いうことを,わざと隠してドルのマイナス面だけに市場全体の
目を向けようとしています.(そして誰かが追随したら,
今回はドルの安値を拾おうとしているのでしょう.)

特に,円は「日本の要因」がずっと無視されたまま買われ続けて
来ました.
「景気が悪くても対外黒字国だから」
「財政赤字は膨大でも,日本国債は国内保有者が売らないから」
というのが,強いて言えば拠り所ですが,正直な話,円のことは
気にしていないけれど,ドルとユーロが勝手に売られるから円高
というのが実態ではないでしょうか?

今はまだ口に出さなくても,「ドル売り,そろそろ疲れたよ」
と思う人が増えています.そして口に出す時にはむしろ
「円はやっぱりちょっと要注意じゃない?」
が表面に出るのではないでしょうか.

ドル/円の80円台は案外近い将来に見られるような気がします.

posted by Globe at 00:45 | 為替相場予想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月19日

「ユーロ崩壊」が起こらない理由

アイルランドがギリシャに次いで財政支援を受けることになり,
「ユーロ崩壊の危機」は今後も続くという論調をたまに見ます.

しかし,その可能性は非常に低いと考えています.

ユーロ崩壊論の主な根拠は,
「1つの金融政策・通貨」と「それぞれの財政」は共存できない
というものです.

危機に陥った国から見れば,景気回復の手段になりうる利下げや
通貨の切り下げが,統一通貨ユーロではできないのが不満です.
だから「ユーロに入ったのが悪いんだ!」という声があがります.

一方,支援する側から見ると,「まじめにやっている我々が,
だらしない国にお金を出してまでユーロ圏に留まってもらう必要が
あるのか?」とこれまた不満です.
「あんな奴らは追い出せ!」または「ユーロから脱退しよう!」
となります.

勝ち組と負け組の不満は「ユーロ」がなくなれば解消するので,
そうした動きはいつか現実香する,というのです.


問題は,今の「勝ち組」「負け組」にとって,ユーロがなくなると
本当にメリットがあるのか,またデメリットはないのか,という
ことです.

その一部は,こちらでも書きました.
 http://eeef.seesaa.net/article/156201416.html

次回は,それ以外の点についても続けます.
それまで,ぜひご自分で考えてみてくださいね.

もちろん,今は安心してユーロの取引をしていてください.

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posted by Globe at 00:35 | 為替相場予想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月23日

「円は安全資産」の誤解

「リスク回避で円が買われた」
という記事を見るようになってずいぶん経ちます.

この意味を理解していますか?
リスク回避の対象なので「円は安全資産」という誤解だらけの記事まであります.
あなたは,これを鵜呑みにしていませんか?
公的債務が実質GDPの2.5倍に達しようとしている日本の円が
「安全な通貨」
ということに違和感を覚えるのが正しい感覚だと思います.

この認識ギャップの原因を明らかにしましょう.

世界のマネーの流れは,
 低金利の円やドルを調達し,それを売って高金利通貨を買い,
高金利通貨に投資するという,いわゆるキャリートレードが再び活発化しています.
 そのことによって投資家は「リスクを取っている」
のであり,その背景には株式を代表とするリスク資産の含み益があります.

株価が下落すると,含み益が減少するため,資産全体でリスクを負担する
余力が小さくなり,どこかでリスク量を減らさなければなりません.
金融機関や機関投資家などは,この「リスク量」を厳密に計測しているので
必ずこの動きが起こります.

そこで,先程の「低金利の円やドルを調達し,それを売って高金利通貨を買い」
という動きが逆戻りします.
 高金利通貨を売って円を買い,調達していた円を返済する
これが「リスク回避」の意味です.

つまり,円を買うということは,円のリスクが小さいからそこに投資するの
ではなく,単に円を返済するために買っているに過ぎません.


これで,わだかまりが解けたでしょうか?


FX取引には,情報の質が大切.


トレイダーズ証券

posted by Globe at 10:15 | Comment(0) | 為替相場予想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月11日

イランミサイル試射でドルが売られるのは

イランのミサイル試射がドル売り材料になり,
「有事のドル売り」という言葉が聞かれました.

最近数年の間に為替を始めた方は,
 有事は「ドル売り」
という反応が当たり前かもしれませんが,伝統的に
有事は「ドル買い」でした.

これが揺らぎ始めたのは,旧ソ連が崩壊していわゆる
冷戦構造が崩れた時.そしてさらに進んだのがあの
9.11同時テロによってアメリカの威信が大きく
傷ついた時です.しかし現在は必ずしも有事にドルが
売られるという反応ばかりではありません.

「有事のドル売り」と言われる事自体が,その時に
ドルの地合いが弱いことを示している,という程度に
考えた方がいいでしょう.
posted by Globe at 11:00 | 為替相場予想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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