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2011年08月06日

S&Pが米国債を格下げ

[米国債] ブログ村キーワード

格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が
米国債をAAAから格下げしてAA+にしました.
その影響を考えてみましょう.

まず,格下げを受けて自動的に対象債権を売却しなければ
ならない運用者はいます.運用対象の投資基準を「AAAに限定」
などと定めている投資ファンドです.

ただし,ムーディーズとフィッチは格付け据え置きをすでに
表明しています.この場合
「S&PでAAA」あるいは
「S&PまたはムーディーズがともにAAA」
などという基準であれば売却ですが,この2大格付け会社
またはフィッチを入れた3者のどれかでAAAと定めている
場合(一般にはその方が多いようです)には,必ずしもすぐに
売る必要はなく,格付け以外の要因を検討することになります.

では,大手運用者が「米国債は売却」と決定した場合に,
それに代わる投資対象は別の通貨になるでしょうか?ここが
為替に関連してきますが,それには「国の配分」とは別に
定める「通貨配分」が問題になります.

つまり,「対象はAAAだけ」で米国債を売却せざるを得なくても,
通貨「米ドル」の配分を変えなければ,世界銀行など
AAA格の国際機関の発行するドル建て債を組み入れるという
選択肢があります.

たしかにS&Pによる格下げはドルにとって悪い材料ですが,
大手格付け会社の判断が分かれており,また昨日(8月5日)の
米雇用統計が改善した状況で,慌てて米国債やドルの売却に
動く投資家は多くないと考えるのが自然だと思います.

ドタバタ動くのは決して得策ではありません.

(余談)
 「ドル/円の80円台は案外近い将来に見られるような気がします」
 と書いたばかりでしたが,介入で予想以上に早かったですね.
posted by Globe at 12:32 | 為替相場の要因 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月27日

中東情勢緊迫下のドル安円高は続くか?

[為替ドル円] ブログ村キーワード

アラブ世界の誠治的混乱がエジプトからリビアに飛び火し,
その中で先週はドル安円高が進みました.

先週の為替相場には2つの特徴がありました.

1.原油価格高騰が円売り材料にならない

原油価格の急上昇が為替市場で久々に脚光を浴びていますが,
その中で,原油が総輸入額の3割近くを占める円が買われました.
原油市場は,とりたてて円の悪材料とはなっていませんん.

2.リスク回避トレードでドルが買われない

中東情勢が緊迫化した今回の局面で,円とスイスフランが上昇
しました.こうした局面での典型的な「リスク回避トレード」と
言われていますが,少し前ならリスク回避局面では買われていた
ドルが,今回は売られています.

この2つのことは,何を意味しているのでしょうか.

1番目の点ですが,市場は円の要因では動いていません.
先日の日本国債の格下げも,その直後に若干円売りが起きただけで,
その後は話題にされていません.(ただし,私は潜在的な円売り
要因としてボディーブロー的な効果を持つと思います.)

円の上昇は,リスク回避行動とドルの下落を反映したものです.

2番目については,現在のドルのテーマは「景気・金利」だと
いうことです.エジプト情勢が急転するまでのドル買い局面は,
景気の急回復と長期金利上昇の見通しがテーマにされていました.

それが,原油価格の急騰で景気に対する楽観的な見方にやや
ブレーキがかかりました.さらに,今週はバーナンキFRB議長の
議会証言が予定されているため,警戒感から買い持ちポジションを
軽くした結果のドル売りと考えられます.
その意味では,このドル売りは一時的な揺り戻しです.

したがって,当面最も注目されるのは1日のバーナンキ証言です.
他のFRB理事に比べ慎重姿勢が目立つバーナンキ議長だけに,先週の
市場はハト派的発言を織り込んだ動きになりました.

その意味では,議長がさらに弱気な発言をしない限り,ドル売りの
余地は少なくなっているのではないかと思います.


最近,この方のブログは業者紹介の方に力が入っていますが,
市場分析の部分は現在も参考になります.
特に,為替をきっちり分析してトレードに活かしたい方なら
彼が為替投資に徹して書いたものは読む価値があります.
一度読んでおけば,来年以降は買わなくても自分で判断する
力がつきます.


為替王
posted by Globe at 17:10 | 為替相場の要因 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月15日

米国長期金利急騰について

2007/6/15

ドルの長期金利急上昇を受けてドル/円は122円台に乗りました.

10年物国債利回りはついに5%乗せ.あっという間にFFレートと
ほぼ同じ水準に達しました.

この点では,例えば昨年12月のこの記事
 http://eeef.seesaa.net/article/29974341.html
のように,いくら住宅市場に問題があったとしても,
米国利下げ予想は誤りだと考えていた通りの展開です.

ただし最近の急激な金利高は,マーケットが一斉にしびれを切ら
て仕切り直しに走った分だけ急すぎるという印象があります.

(続きを読む)
posted by Globe at 05:10 | 為替相場の要因 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月02日

キャリートレードの「亡霊」

2007/4/1


 前回も指摘した通り,円相場は神経質な動きの中でレンジ固めを続けています。ざっと振り返ると,2月の中国株急落をきっかけにそれまで積み上がったキャリートレードのポジションの一部が解消され,ドル/円は115円台前半まで下落しました。その後は118円台と115円台に上下を抑えられたレンジ相場で1カ月が過ぎました.

 よく見ると下値が徐々に切り上がっています.根強い円安傾向がまだ残っていて,30日(金)のニューヨーク市場でも118.40に迫りました.決算期末明けの今月から日本人投資家の外貨資産購入が再び活発化し,円安に向かいやすくなるとの見方があります.

 しかし30日には米商務省が中国製品に対する相殺関税の発動を決定したとの報道もあって1円以上も下落し,上値の重さを確認した形になっています.またバーナンキFRB議長が「まだら模様」と表現した米国景気への不透明感も強く,ドルが上昇しても120円にはなかなか手が届かない展開は変わりません.

(続きを読む)
posted by Globe at 22:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 為替相場の要因 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月28日

誰がキャリーを解消するのか

2007/2/28


「中国発世界同時株安」に為替マーケットが揺れました.

 あちこちでヘッジファンドが活躍したことになっています.「中国株式市場の規制導入でヘッジファンドが中国株を売った」「ヘッジファンドが円キャリートレードの解消に走った」...

 株はともかく,ヘッジファンドの為替ポジションについてはシカゴIMMの『非商業部門』が目安になりますが,今回の動きについては来週にならないとわかりません.ただし,キャリーポジションを持っていたのはヘッジファンドだけではありません.

 今,一番心配なのが日本の個人投資家です.特に「スワップ狙い」のFX.彼らこそ,日本の一大キャリートレード勢力です.昨年のFX人口急増には,「金利差分は取れる」という安心感(とそれをことさらに強調する勧誘)が大きく影響していました.
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posted by Globe at 21:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 為替相場の要因 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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