ドル対円の為替レートに,金利差が依然として有効だとしても,
説明力は明らかに低下しています.米金融緩和で米国長期金利の
下げ余地がなくなっているためです.
従来から国債の利回り格差として「10年物」「2年物」の2つが
言及されてきました.ただ,10年物の場合
「日米金利差が2.5%以上で安定している期間は円安」
が注目されたので,米国金融緩和により10年物利回りが2%台前半まで
低下してからは,2年物の金利差に注目が集まりました.
しかし今や米国の2年物利回りがゼロに近づき,金利差のごく小幅の
動きをあえてドル/円相場に結びつけるには,かなり無理が出ています.
また現在,ユーロ圏の混乱の中でドルも円も買われやすい状況にあり,
この点からもドル対円の値動きは当分小さいと予想します.
先日の米雇用統計は,FRBを思い切った緩和に動かすには十分ではなく,
マーケットの米景気への見方も,基本的には楽観的です.
少なくとも,日米欧の中で考えた時に,景気要因でドルを積極的に
売るという判断はしにくいと思います.
ましてこれから大統領選挙本番です.米国では,景気のいい話が
先行するでしょう.
一方,対ユーロでドルと円の動きを考えると,ドルはユーロに対して
久しぶりの高値圏にあるとはいえ,歴史的に見ればまだ高い水準
(境目は 1ユーロ=1.20ドル)にあります.
その点,1ユーロが100円割れの水準は,歴史的にかなりの円高という
実感を持って受け止められており,ユーロが落ち着いてきた場合は
円に対してより大きく反発する可能性があります.
その時,ドル対円が膠着状態を脱して,やや円安方向に動き出すことに
なりそうです.
(2012/7/10)
posted by Globe at 16:09
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