2006年09月24日

FRBが今考えていること

2006/9/24

ちょっと面白くなってきました。FRB(米連邦準備制度理事会)の「次の一手」に対する見方が割れています。

もっとも、割れているとは言っても「米国の利上げ局面は終息した」という見方が多数派です。その中でも多いのが「今年末から来年前半までには利下げ」ですが、中には「来年中金利は据え置き」という見解もあります。そして、今はすっかり少数派に転落した感があるのが「しばらくの見極めの後、利上げを再開」というものです。

私は3番目の見方、つまり「次の一手は利上げ」と考えています。

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2006年06月02日

FXとの付き合いかた

2006/6/1

最近流行のマージンFX系Eブック(情報商材)のあまりにいい加減な
広告には呆れてしまいます.
「毎日、土日も働かないでも、1日1万円の金利が入ってくる」
「FX(外国為替証拠金取引)投資は毎日・毎日スワップ金利を受け
取れる美味しい投資対象です」

確かに金利は入ってきます.しかしドル/円のスワップを1.4銭/日と
して,毎日1万円入ってくるために必要なポジションは,少なくとも
70万ドル.それも(外貨の方が金利が高い今の金利体系であれば)
ドル買いの場合だけです.ということは,仮に10銭円高になったら
7万円の損が出ます.1円の円高なら損は70万円です.1日1万円の
金利を受け取ってのんびりしていられますか?

こういう具体的な話をしないで,「確かに、取引はハイリスクですし、
危ない為替取引業者も沢山います」程度のリスク説明しかしません.
この程度の説明で納得するような初心者が,FXで取るポジションと
して70万ドルは法外です(証拠金は700〜800万円必要).せいぜい
数万ドルのポジションが限度でしょう.

FXを怖がったり避けたりする必要はありません.しかしこういう
「ラクラク儲かります」というタイプの広告を出す業者や著者の
勧誘は無視した方が身のためです.
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2006年05月14日

「米国売り」が起こるかどうかの見極めを

2006/5/14

2005年4月のG7以降,為替市場のキーワードは「不均衡」です.
米国が巨額の貿易赤字・経常赤字を抱える一方で,主にアジア諸国の
黒字が目立っています.このため米国などがこれら黒字国に要求する
「柔軟な為替制度」は黒字国の通貨高,つまりドル安を意味するという
考えからドルが売られやすくなっています.5月12日の海外市場で
ドル/円は109.45まで下落しました.

ドル高要因に無関心

ところで,先週から今週前半にかけてアジアの黒字国の象徴的な存在
である中国に対し,米国財務省が半年ごとに行なう議会への報告で
「為替操作国」との認定を行なうのではないか,という議論が高まって
いました.実際には10日の報告で中国は為替操作国とはされません
でしたが,これに対する市場の反応は限定的でした.

中国を為替操作国に指定することは実質的には人民元の上昇を求める
ことになります.つまり市場はドル安要因発生の可能性をいくらか織り
込んでいたわけです.しかしそれが外れ,反動のドル買いが出ても不思
議でない状況になっても今の市場は鈍感,またはあえて反応したがらな
いという雰囲気が,非常にはっきりとしています.これは3月の米国の
貿易収支が2ヶ月連続の改善を示した12日の発表の後で,ドル買いが
一時的なものに止まったことにも表れています.

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2005年11月22日

通貨バスケットとは何か

時々新聞などに,「ロシアの中央銀行が通貨バスケットを変更」といった記事が
載ることがあります.この「通貨バスケット」というのは,ドルやユーロなど,
複数の主要通貨で構成する「バスケット(かご)」に自国通貨を連動させる為替
制度です.ドルが強ければユーロが相対的に弱いといったように,組み入れ通貨
の強弱が相殺し合うため,その通貨の為替相場が安定するというメリットがあり
ます.

シンガポールは以前から採用していますが,ロシアも2005年2月に,ドルとユー
ロを組み合わせた通貨バスケット制を導入しました.バスケットの構成比はドル
9割.ユーロ1割とのことですが,この発表の時は,ロシアが外貨準備に占める
ユーロの比率を次第に上げていく方針というい観測から,一時ユーロ買いドル売
りにつながりました.
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2005年11月14日

「国際通貨」

米ドルは主要な国際通貨であると言われますが,その意味は次のようなものです.
まず,通貨には「支払い手段」「計算単位」「価値保蔵手段」という3つの機能
があり,国際通貨はこれらの機能を国を越えて果たすものです.その場合上記の
3つの機能は,民間取引と公的取引において,それぞれ

 支払い手段=取引通貨(民間),介入通貨(公的)
 計算単位=表示通貨(民),計算単位通貨(公)
 価値保蔵手段=資産通貨(民),準備通貨(公)

という形で利用されることになります.
国際通貨となる条件に明確な定義はありませんが,

 国際的に一般受領性を備えている
 通貨価値が安定している
 通貨発行国に発達した金融市場があり、その通貨での調達運用が容易

などが挙げられています.通貨が広く受け入れられることは支払い手段として不
可欠です.また,安定した通貨価値は取引の際の価格表示通貨としての計算単位
や資産通貨・準備通貨として保蔵する上で重要です.金融市場が発達し,居住者
だけでなく非居住者にとってもそのアクセスが容易なことは,通貨の3つの機能
全てをより有効に発揮させるものです.
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2005年11月05日

G7(ジー・セブン)

FOMCと並んで年中行事として注目されるのが,G7(先進7カ国財務相・中央
銀行総裁)会合です.これは日本,米国,ドイツ,英国,フランス,イタリア,
カナダの7か国で構成します.

G7はGroup of Seven の略で,上記7カ国の財務相と中銀総裁が,世界経済など
に関する話し合いをするために原則として年3回集まります.

1985年9月(当時はG5=日米英独仏)会議は「プラザ合意」としてあまりに有
名ですが,今でも会議後の声明やその後の各国の政策動向が注目され,為替市
場に大きな影響を与え,現在は中国の人民元に焦点が当たっています.
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2005年11月04日

FOMC

もう説明する必要のない方も多いかも知れませんが,アメリカの中央銀行である
連邦準備制度理事会(FRB)が年8回定期的に開く,米国金融政策の最高意思
決定会合です.

代表的な短期金利であるフェデラルファンド金利の誘導目標などを決定するこの
会合は,FRB議長及び理事と,地区連邦準備銀行総裁らで構成します.定例の
8回だけでなく,金融危機など景気の急変時には臨時の会合を開くこともあり,
それは電話会合のこともあります.

市場関係者はこの会合後の声明の一字一句に神経をとがらせています.
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2005年11月01日

為替市場ではドル圧倒的優位

IMFが毎年為替市場の統計を発表すると,ドルの取引が8割以上を占めています.
世界の貿易量を考えると,これは明らかに偏りすぎですが,実際には為替市場
の取引の大部分がドルを対価にしていることを反映しています.

銀行の店頭に行くと,円を払えばユーロでもカナダドルでも,タイバーツでも
買えますが,銀行間の為替市場では,ユーロ対円・ポンドあたりは別として,
ドルを介さない取引はほんの僅かです.

よく新聞記事などで「円がユーロにつられて下落し」などと書いてあるのは,
ドルのユーロに対する上昇が対円に及んだという意味です.ドルがユーロに取
って変わられつつあると言っても,為替市場でのステイタスはまだまだです.
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2005年10月30日

「日銀介入」とは表面的な言い方

いわゆる「日銀介入」の主役が日銀ではない,ということは最近ようやくよく知ら
れ るようになりました.介入の権限が誰にあるかは国によって異なりますが,日本
では財務大臣 が,円相場の安定を目的に介入を用いるとされています.

日銀はあくまで財務大臣に指示によって為替取引を行う,つまり介入の「実務」を
担当するだけで,いつ,どの程度の規模で介入するかを決めているのは財務省です.
これに 対し米国では,財務省とFRBのいずれも介入の決定権を持っていますが,財
務省の判断が優先 されます.英国もこれに近い形になっていますが,EUでは欧州
中銀(ECB)に主導権があります.
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2005年10月28日

対内対外証券投資

世界中の資金の動きが加速し,投 資資金の動きが為替に大きな影響を与えてい
ます.財務省は国際収支統計の「証券投資」とは別に,居住者と非居住者との
証券売買の統計を発表しています.「対内及び対外証券投資の状況」です.

公表は決済ベースと約定ベースの二通りで,公表時点とカ バーする範囲にも違
いがあります.決済ベースは国際収支統計と同時に 前々月の計数を公表,投資
家の業態別分類や,投資国別の数値も出ています.

約定ベース計数は月次と週次の二通りあります.月次は毎月10日頃 前月分,
週次は毎週木曜日に前週分なので速報性に優れています.証券会社・ 銀行・生
損保・信託といった主要投資家のみからの報告に基づくため範囲は限られてい
ますが,業態ごとの動きがわかるというメリットがあります.
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2005年10月27日

貿易収支

「国際村支説」は経常村支に着目するものですが, 現在の日本も含め,経常村
支は貿易村支の動向をほぼ反映するため,貿易村支は重要な指標になります.

ただしドル/円レートなら日米の貿易関係,と考える方がより正確な指標になり
ます.米国の対日貿易村支とドル/円レートとの間にはかなり密接な関係があり
ます.(グラフを見る)

現在米国にとって増え続ける対中赤字が最大の問題です.中国の固定相場(ド
ルペッグ制)に米国がこだわるのはこのためです.
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2005年10月26日

マネタリー・ベース

為替相場を二国間のマネタリー・ベース格差から捉えようとする方法もあります.
特にドル/円では2002年ころまではかなり長い間,日米マネタリー・ベース格差
と強い相関を持っていました.(参考チャート)

日銀のホームページを見ると,マネタリー・ベースとは「日本銀行が供給する通
貨」のことで,具体的には
「市中に出回っているお金である流通現金」+「日銀当座預金」
のことです.(なお,流通現金=「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」)

一般には,マネタリーベースが拡大するということは国内の流動性が過剰になる
ことをです.従って余剰資金が国内の投資機会では吸収できなくなり,海外に流
出する原因になり,通貨の下落要因となる,という考え方をします.

しかし日本が超金融緩和,つまり普通では考えられないほどの量的拡大を行なっ
た結果,常に円安になったとは限りません.また,日銀による量的緩和によって,
景気のいかんに関わらず日本のマネタリーベースが恒常的に大きくなったため,
マネタリー・ベースに着目すること自体が今のところ難しくなっています.
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2005年10月25日

為替レートと鉱工業生産格差

為替レート予測のファンダメンタルズ要因の中で,ドル/円相場の動向と当ては
まりが良いと 思われるのが日米の生産力格差です.生産力という場合,第一に
考えるのがGDP(国内総 生産)ですが,為替予測にはやや不向きです.これは
多くの国でGDPの計数をまとめる サイクルが四半期であり,データの鮮度が低
いためです.これは日本と米国を見ても例外ではありません.

このため,生産力を反映する月次データである鉱工業生産を利用することが多
いのです.ただし,鉱工業生産の統計はどの国でも月によって変動が大きく,
そのままでは比較には不適当です.そこでいろいろ試行錯誤すると,毎月の鉱
工 業生産の前年比伸び率について日米の差を求め(米-日),3ヵ月移動平均し
たものを対比するという方法が,ドル/円の為替レートとの関係を見る上で比較
的良い方法です.
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2005年10月24日

アセット・アプローチ

高金利通貨への投資,というとすぐ出てくるのがオーストラリア・ドル,ニュー
ジーランド・ドルといった「オセアニア通貨」ですが,最近は米ドルもその仲間
入りしています.投資家なら,ゼロ金利の日本よりもこういうところで運用益を
手に入れようとするでしょう.アセット・アプローチは,こうした投資行動に注
目して為替レートの変動を捉える理論をいいます.

変動相場制に期待された国際収支の調整機能が働かなかったのは,特に先進国が
国際間の資本移動を自由化する方向に動き始め,貿易以外の資金の動きが為替レ
ートに大きく影響するようになったからです.日本でも80年代に外為法改正など
により,国際金融・証券取引が飛躍的に増加しました.

アセット・アプローチでは,こうした投資行動の結果としての資産(アセット)
の保有高に着目します.そして為替レートは国際間の資産選択を通じて得られる,
異なる通貨建ての資産の「期待収益率」が等しくなるように決定されると考えら
れています.つまり円預金とドル預金といった金融資産間の交換価格が為替レー
トである,というものです.
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2005年10月23日

国際収支説

国境を越えた資金の受払いを直接反映する国際収支に着目した為替レート理論が国際収支説(国際貸借説)です.具体的には、為替需給を把握するために経常収支に注目します.例えば日本の経 常収支が黒字になると,日本の企業が外国から受け取る外貨を円に換える必要が生じ,外貨 を売って円を買う結果円が上昇します.反対に経常収支が赤字になれば外国への支払い を行うために外貨を買って円を売る動きが円安圧力になります.
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2005年10月22日

購買力平価

為替レートは自国通貨と外国通貨の購買力の比率によって決定される,という理論が「購買力平価」説 です.財やサービスの取引を自由に行えるという前提があれば,同じ商品の 価格は一つに決まり(一物一価の法則),国内市場と海外市場の間でも同じことが成り立ちます.この時日本よりも米国の物価が低ければ,日本から米国製品を買うために円を売ってドルを買 う動きが増加します.このためドル/円レートはドル高円安に動いて均衡点に達するという考え方です.

購買力平価は、
  基準時点の為替レート×自国インフレ率÷相手国インフレ率
によって求めます.基準時点としては1973年を使うことが多く,日米ともに経常収支が 均衡していた時期という理由によるものです.インフレ率には消費者物価と輸出物価がよく使われ ます.ドル/円レートは,消費者物価ベースの購買力平価をドルの上限,輸出物価ベースの購買力平価をドルの下限とするバンド の中で,概ね変動してきています.これを見ても,購買力平価は長期的な為替レートの趨勢を説明する上では意味があります.
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2005年10月21日

為替市場の規律

為替市場というのは取引所にあるわけではなく,ディーリングシステムや電話による相対市場です.このため公の規制や監督が及ぶには限度があり,いい意味では自由度が高い市場です.

しかしこれは一方で,市場の流動性を無視した,あるいはあえて流動性の限界を超えた無軌道な取引によって市場を操縦しようとする参加者の狙い目になる可能性があるということです.

これは,市場参加者自身の統制によって防がなければなりません.各国の市場にはたいてい "Code of conduct"(行動規範)というものが存在します.この中には,銀行同士または銀行と顧客間での相場操縦的な行為や相場撹乱を容認しないこと,当事者間以外では具体的な取引の主体名を明かさないことなどが謳われています.こうした規範は,銀行を中心とする市場参加者によって制定・管理されており,日本では「東京外国為替市場委員会」がこの役割を果たしています.
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2005年10月20日

「1ドル=117円50銭〜60銭の間で取引」?

テレビのニュースの字幕に,1ドル=117.50〜117.60 と表示され,
「ロンドン市場の円は,1ドル117円50銭から60銭の間で取引されています」
という言い方をすることがありますが,これは正確な表現ではありません.

彼らはロイターなどの 情報画面で,117.50-60(50〜60ではない)という表示を見てこのように伝えますが,この表示の意味は範囲ではなく,ドルのビッド(買い手レート)とオファー(売り手レート)です.最近はマージンFXが普及してきたので以前よりは理解されていると思います.

一時あるテレビ局は「117円50銭、60銭」というように読んでいました.ようやく意味の違いに気付いたのかなと思いましたが,聞いていてわかりにくいという意見でも出たのか,間もなく元に戻ってしまいました.
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2005年10月19日

日本の対外収支統計と円相場

為替相場が材料難になると引き合いに出されるのが,日本の貿易黒字です.日本
の輸出企業は受け取った外貨を原則として円転する(円に換える)ので,貿易黒
字が高水準である限りいつまでたっても円高材料です.しかし実際にはこの要因
相場に「出没する」のです.つまり,相場の材料とならない時期もあるというこ
とですが,いったん材料視されたらしばらくついていくしかありません.

一方,これを相殺して円安要因となりやすいのが,証券投資の動向です.日本か
らの対外投資は貿易黒字の裏返しですのでこの両方を合わせて見なければなりま
せん.ただしその際,注意することがあります.

日本の対外証券投資で金額的に大きいのは外債投資ですが,これには為替と関係
のない部分も多いのです.外債の大きな買い手のうち,銀行部門は大部分の購入
資金を外貨調達するのでその分はドル買いが起こりません.またもう一つの巨大
な買い手である生保の多くは,為替ヘッジ付きで購入します.従って,外債購入
額全体に比べ,実際の円売りは半分程度のことも多いのです.

これに比べ,外国株式は金額は小さいですが,そのほとんどが「購入時に円売り,
売却時に円買い」という形でほとんどそのまま円相場に影響を与えます.
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