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2007年01月01日

2007年 為替市場の見通し

2007/01/01

 あけましておめでとうございます。

 年末の一週間、為替市場は波乱なくそれまでのトレンドを追う形で取引を終えました。ドル/円は12月に入ってから、ディープインパクト並みのラストスパートで年初の水準を抜き去りました。またユーロ/円も最高値更新の157円台、ユーロ/ドルも1.32ドル台を回復と、1年間の3通貨の関係そのままの幕切れとなりました。

1.金利の年だった2006年

 2006年の最初に1年間の注目イベントとしたのは

  ■バーナンキ新FRB議長の就任
  ■日銀のゼロ金利解除
  ■小泉首相退陣
  ■米国中間選挙

でした。最初の2つは日米金利に関するものです。2005年半ば以来の金利相場が続く限りドル/円は勝負がついている、つまり「金利差は拡大はしても縮小はしない」という予想はほぼその通りになりました。

 しかしその一方で、「2006年中には金利相場が終了し、違うテーマが現れるだろう」という予想は見事に外れ、1年を通じて金利が為替相場を支配しました。円相場は中間選挙の年に荒れるというのが、実は過去20年間ほどのパターンになっていました。しかし昨年はこのパターンが空振りし、金利要因が終始ドル優位に働く中でドル/円は年間の変動幅が10.91円という史上最小の値動きに止まりました。一方、ユーロ/ドルでは米国が利上げを停止する一方でユーロは利上げ局面に入りました。さらに超低金利の円を調達通貨にしたキャリー・トレードがドル、ユーロを含む多くの外貨に向かった結果、ユーロにとって金利要因は対円でも大きな追い風になりました。

2.2007年の見通し

 以上のような動きを引き継いで今年を見渡すと、これまで以上に「円金利」と日銀の金融政策が大きな意味を持つようになると思います。昨年のようにドル/円の為替変動が小幅になってしまうと、為替の動きを収益機会とすることが難しくなるため、為替取引における金利差の重要性が高まります。さらに、円は政策的に下落に対する抵抗が小さい(当局がある程度の円安をむしろ歓迎する)ので、キャリー通貨(売りサイド)としては理想的です。したがって、現在短期金利で5%程度という日米金利差に着目したドル買いは、少なくとも今年上半期は継続すると思われます。

 かと言って、私は今年も日銀が利上げをためらい続けるとは思いません。恐らく2月までに再利上げがあるでしょう。ただし、1回の利上げでは何も変わりません。問題は、その「次」がいつ来るかです。何度か書いたと思いますが、5%ある金利差が4.75%になったからと言って、他の条件が変わらなければ金利差の魅力がガタ落ちするわけではありません。最近の日銀はしきりに「我々のシナリオ」を強調しますが、昨年ゼロ金利を解除してからもう半年。企業活動の家計への波及が思いの他遅れたという表現で、当初のシナリオが昨年は実現しなかったことを認めています。そのために昨年の今ごろの主流だった「円高・株高」という予測も軒並み外れてしまいました。

 今度行なう利上げでは、日銀はもちろん前回のような読み誤りを繰り返したくないでしょう。そして市場も前回より慎重に反応すると思います。繰り返しますが、「次」が問題だからです。「次」がその3ヶ月以内にあるとすれば、日銀は自分の「シナリオ」に自信を持ったということであり、恐らく四半期ごとに0.25%刻みで利上げするでしょう。そうなって初めて為替に影響があります。1度目の利上げに反応した円高局面があったとしても、元に戻るまでにそう時間はかかりません。また、「次」がそれ以上遅れたとしたら...これは昨年の繰り返しになります。

【日米金利差縮小は限定的】

 今回、日銀に「次」がある可能性は高いと思います。CPIが安定的にプラスであり、消費に落ち込みが見られなければ決断するでしょう。所得水準が上がらないという点は、日本企業の国際競争の相手として賃金コストの安い国が台頭してきたことを考えれば、いつまでも待てることではありません。日銀もそこは割り切らざるを得ないと思います。

 では、利上げ局面に入るといよいよ円高かと言うと、そうでもありません。その理由は米国がソフトランディングに成功し、利下げは結局行われず、年後半には利上げ再開が視野に入ってくるためです。このあたりは前回も含め何度も触れて来たことなので、ここでは繰り返しません。主に住宅市場の不振に着目した悲観論は、最近の景気指標でも経済全体への波及度合が小さいということから否定されつつあります。もっとも、一番新しい統計で住宅関連指標自体も反発していますが、現時点でそこまで楽観的ではありません。いずれにしても、日本は今年の前半から利上げ期待が高まると見られますが、米国に対する大半の見方は依然(私の見方とは関係なく)「利下げ」なので、このタイムラグによって、年央にかけて円高に向かう局面はあると思います。その後はまたドルが安定するというシナリオです。

【ユーロ高は転換へ】

 話がドル/円に偏ってしまいましたが、気になるのはユーロの動向です。当面は、金融引き締めスタンスが変わらないこと(同時に米国利下げ期待)からユーロの堅調な局面が続きそうです。特に対円では円キャリー・トレードが持続することもあり、今年の早い時期に160円前後まで上昇する可能性があります。ユーロ圏の経済力拡大(紙幣流通量もドルを上回ったと報じられましたね)への肯定的評価も後押しするでしょう。

 しかし、ECBの「金融は緩和的」との度重なる発言はあるにせよ、昨年を通しての金利高とユーロ高、ドイツ付加価値税の引き上げ、さらにイタリアも財政赤字削減が必須というように、年明けからのユーロ経済にはマイナスの要素が重なります。長期的にドルに代替する度合いを強めるという流れがあることは事実ですが、今の水準はそのことまでもかなり先取りしたものに見えます。例えば、中東諸国やロシアに見られる「準備通貨のドルからユーロへの転換」がそうです。このことを材料に「今後もユーロのドルに対する上昇は不可避」という論法がありますが、これはかなり疑問です。要点だけ触れますが、第1に中央銀行が為替市場に影響を及ぼすような(一度に大量の)ユーロ買いドル売りをしないこと、第2に事実として、世界第3位の外貨準備を持つロシアが一昨年「ドル準備のユーロへの一部転換」を行なったのに、2005年を通じてユーロが対ドルで下落を続けたことが挙げられます。

 ユーロに関する今年最初の注目点は、確実と見られる年初1回目の利上げの時期です。このところ2ヶ月おきに利上げしてきたサイクルを、ドイツ増税の影響を見極める意味も含めて2月を飛ばして3月まで待つか、ここが最初のポイントでしょう。相変わらずインフレ懸念を前面に出すECBですが、今回は慎重なスタンスを取ると考えています。その際も追加利上げへの含みは当然残すものと思われますが、利上げを背景に買われて来た通貨だけに、市場のユーロ買い安心感の後退が上昇トレンドの転換点になるかも知れません。その後は景気指標の出方次第ですが、貿易収支の赤字基調を見てもユーロ高の影響は顕在化してきており、ユーロは「過大評価」という認識が今年は強まると思います。

【このままで済むなら...】


 このように考えると、今年の3極通貨のシナリオは、年初しばらくは「ユーロ、ドル、円」の順に強く、次に「ユーロ、円、ドル」、そして年後半になるとドルが見直されるとともにユーロが急速に失速して「ドル=円、ユーロ」という展開を予想します。人民元も気になりますが、「05年に比べて06年は元の上昇幅が拡大した。今年はさらに元の上昇が加速」という向きには失望の年になるでしょう。上昇はするもののあくまでそのスピードは緩やかに、という中国の姿勢は崩せないと思います。また、ドル/円と元の連動性は明らかに弱まり、元の上昇が円高要因になりにくいというのが実情です。

 最後に、ここまでは平和でボラティリティも小さなマーケットを前提とした、お気楽シナリオです。何の解決もないままサダム・フセインの処刑を急いだことは、今後のイラク情勢を間違いなく悪化させることでしょう。最も影響を受けるのはドルだろうと思いますが、それだけでは止まらない何かが起きてしまわないかが心配です。

この不安が外れて、良い1年になりますように。


posted by Globe at 21:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 為替相場推移 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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