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2011年11月19日

「弱い日本の強い円」(佐々木融)

「弱い日本の強い円」を最近出版した,JPモルガンの佐々木融氏は,
この2〜3年最も「乗っている」為替アナリストである.

 

リーマン・ショックの時に,それまでの「円キャリートレード」が
大量に巻き戻され,急激な円高となったのは「リスク回避トレード」の
顕著な例だが,大方の市場筋は,これを一時的な要因だと思っていた.

その中で,佐々木氏は「リスク志向とリスク回避」(最近は
「リスク・オン,リスク・オフ」という呼び方をすることが多い)を
いち早く相場材料のメインテーマに据え,ほぼ一貫してこの観点で
為替の動きを予測していた.

そして実際に,2009年以降今日まで,

 リスク志向が高まれば株や高金利通貨の買いと円の売り(円安)
 リスク回避傾向なら株や高金利通貨の売りと円の買い(円高)

というマーケットの行動様式がほぼ続いてきたため,
佐々木氏は「当たる」為替アナリストとして人気が上昇し,
説明のわかりやすさもあって,最新の専門誌でのランキングで
トップに選ばれたのである.


ところで,「リスク・オン,リスク・オフ」がいつまでも為替
相場のテーマではあり続けない.いつかテーマは変わり,
市場はそれを中心に当分の間回ることになる.

...と言っても佐々木氏の能力を貶めるわけではない.
相場のテーマが全く変わっても,佐々木氏は本来非常に正統派の
為替アナリストであり,高い水準の分析を続けることだろう.

彼は元・日銀の為替担当者として,実際に介入の実務も経験している.
本書に書かれている介入に関する記述も,今の為替アナリストの
中では彼しか書けないという内容がビジュアルに描かれている.
こういった面に関心のある読者にとっても,満足度が高い
一冊であると思う.


確かな実力と経験を持つアナリストが,最も「旬」な時期に
書いた一般向けの本が「弱い日本の強い円」である.

おそらく為替は来年のうちには新たな展開が始まり,
佐々木氏も本来業務に追われてマス向けの本に割く時間は
なくなるだろう.

その意味では,為替相場を動かすメカニズムを知りたい人に
とって,当分の間出てきそうもない本であろう.


タグ:為替 介入
posted by Globe at 17:19 | Comment(0) | 為替相場の参考書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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