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2006年03月18日

(番外)本人も知らなかった「為替王」との対戦

2月20日に発売された東洋経済『ブログキャスター』に寄稿させて頂きました.
今年前半程度を見渡して,というご依頼だけをうかがっていましたが,発売さ
れた雑誌を見てびっくり.2ページ見開きの左側にあの「為替王」さんの円安
予想,そして右側に,円高予想ではありませんが年後半には円安は進みにくい
という私のコメントが,対戦形式になっていました.
以下は,私の送った原稿のままです.掲載されたものとは若干異なります.


          ********************************

昨年の円相場は、年初の100円割れ寸前から121円台に達する大幅なドル高円安
となり、2002年以来の円高傾向が止まりましたが、年初は一転して円高で始まり、
「円安」一色だった相場見通しも怪しくなってきました。

こうした日々の相場の動きに翻弄されないために先を見渡してみると、昨年後半
を支配した為替の「金利選好」はどうなるのか、増加を続ける米国の経常赤字の
影響、そして経常赤字の原因であると同時にそのファイナンスも担う中国と人民
元の動向などが市場環境の注目点となります。一方イベントとしては、「バーナ
ンキのFRB」のスタートと、11月に実施される米国の中間選挙が大きなものです。
FRBの利上げサイクルに終わりが見えたことが年初のドル売りを招いたと言わ
れますが、日米金利差は今年1年を考えても拡大傾向が予想され、依然としてドル
高円安の要因です。FRBは1月末のFOMCで予想通り0.25%の利上げを行い、
次回3月の利上げの有無が注目される状況です。一方、日銀は量的緩和政策を今
年の春先に解除すると見られますが、ゼロ金利の解除は早くても年後半との見方
が大勢です。過去のドル/円レートの推移を見ると、米国の政策金利が日本を2.5%
程度以上上回る時期は概ね円安局面と重なりますが、現在の金利差は4.5%です。
ただ、米国に利上げ打ち止めが見えてきたため、昨年後半のように金利がドルを
押し上げる勢いはなくなってきています。

日米金利差拡大のピークがある程度見えてくると、米国の経常赤字をドルの下落
要因と指摘する声が再び目立ってきました。対GDP比で6%に上る経常赤字は
確かにドルの重大な下落要因ですが、6%になったから重大なのではなく、3%
近くの頃から「ドル暴落」の引きがねとして懸念されていました。それ以来ドル
買いのネタが尽きると、多くの人がこの事実に改めて注目してドル売りが優勢に
なります。経常赤字はもう何年もの間常に存在し、このドル売り要因を上回るド
ル買い材料がある時が円安、それが不足する時が円高、という局面を繰り返す構
図は今年も同じです。ただし昨年12月にチェイニー副大統領が「ブッシュ大統領
の任期切れまでに経常赤字を半減」と発言したことは注目されます。中間選挙の
年を前にした公約である以上、為替政策を含む何らかの政策対応を打ち出す可能
性があるためです。プラザ合意後過去5回の中間選挙の年は全て年初より年末の
方が円高であったという符合も、若干気になるところです。

現在の米国の最大の貿易赤字国は言うまでもなく中国です。中国は昨年7月、
「不公正な為替レート政策」という国際的な批判に応え人民元の「自由化」に
踏み切りました。1月には周小川中国人民銀行総裁が「値幅制限の活用が十分
でない」「通貨バスケットに占める米ドルの割合は半分以下」と発言しました
が、このように為替制度の透明性と自由化の拡大に積極的な中国の姿勢は、米
国にとっても好ましいものです。80年代の日本との貿易不均衡解消のために、
プラザ合意でドルの価値を半分にしたような余力は今のドルにはないからです。
着実な「改革」による元の上昇は米国の望むものですが、それはあくまで緩や
かなドル安要因として作用し、円相場に与える影響も急激ではないでしょう。

昨年のドル高には、ドルへの信認を保ったグリーンスパンFRB議長、貿易黒字
と原油高を背景にそれぞれ米国債市場に潤沢な資金を供給した中国と中東産油国
という、3つのいわばプレミアム要因がありました。バーナンキ新議長への交代
によりプレミアムの1つがいったん消滅し、円相場も不安定になりますが、安定
した日米金利差から6月末には120円前後の水準と予想します。他の2つのプレミ
アムは引き続き米国の経常赤字を補完し、ドルを支えると見られますが、年後半
には中間選挙に向けた思惑による円高方向への波乱の可能性も含め、ドルがやや
買いにくい状況が出現するため、年末は117円程度までドルが若干下落すると予
想します。
posted by Globe at 20:15 | TrackBack(3) | 為替相場推移 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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