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2006年01月01日

米経常赤字拡大と中間選挙

2006年にはいくつか大きなイベントが予定されています.例えば

(1)バーナンキ新FRB議長の就任(2月)
(2)日銀の量的ゼロ金利解除の可能性(年央以降?)
(3)小泉首相退陣(9月)
(4)米国中間選挙(11月)

といったことですが,中でも中間選挙に向けた動きは長期的なインパクトを持つ
可能性があるため要注意です.そしてその兆候はすでに現れています.

ブッシュ米大統領の「対イラク開戦の根拠とした情報に誤りがあった」という発
言は,今年の中間選挙での共和党の勝利と,2年後の大統領選挙で共和党候補者
勝たせる環境を用意するという狙いがあります.この問題に対する国民の疑問を
残したまま選挙戦に入ると,争点にされた場合に共和党にとってマイナスとなり
やすいため,自分の再選のないブッシュが捨て身の協力を始めたということです.

共和党が選挙モード入りする中で,チェイニー副大統領は「ブッシュ大統領の任
期切れまでに経常赤字を半減させる」と発言しました.いわば現政権の公約です
から2度の選挙で共和党を縛るものです.貿易赤字の相手国である中国と日本に
対する「内需拡大、公正な為替レート」という要求が,自助努力にも増して国民
へのアピールに利用されるでしょう.今年は経常収支、貿易収支の動向が再び脚
光を浴びる年になりそうです。

日米金利と新FRB議長の就任

とは言え、当面の市場の最大関心事は金利です。このまま為替市場が金利だけに注目し続けるなら、少なくとも今年前半の勝負はついています。ドル高円安です。バーナンキ新議長の下でもFF(フェデラルファンド)金利はあと2回、幅にして0.5%は上昇する見込みです。

これに対し、ようやく量的緩和解除が新年度入り頃というスケジュールが具体化しつつある段階なのが日本です。ゼロ金利解除はその後慎重に状況を見守ってから、今年後半のいずれかの時期になると見られています。従ってこれから半年の間に日米金利差はあと0.5%は拡大します。

2月に就任するバーナンキ新議長を待っているのは、まだ顕在化していないインフレの影です。WTI先物で1バレル=60ドル台という原油価格は、上昇し始めた頃の大方の見通しに反して、新たな落ち着きどころとして意識されてきました。特に、急成長を続けながら驚くほどエネルギー効率の悪い中国の存在によって、原油の需要が引き続き高水準を保つことになるためです。

グリーンスパン現FRB議長が「不可解」と言った米国長期金利の安定をもたらした一つの原因は、インフレに対する市場の楽観でした。原油価格の高止まりがインフレ圧力となり、長期金利が上昇を始めた場合、今は日本よりも米国にとって、不動産バブルの崩壊も含め深刻な状況をもたらす恐れがあります。

新議長がこうした状況にどう対応するかは未知数です。デフレ研究の権威であり、当面は現行政策を継承するという新議長の就任前に、米国の経済指標はハリケーンの影響を見事に克服し、このところ非常に好調です。これから2ヵ月の経済指標、特に物価関連関連指標の動向次第では、就任直後から新議長の発言は大きな注目を集め、金融市場は優れた学者である彼の実務的な対応能力をテストすることになるでしょう。

株高円安の落とし穴

こうした中で、私が繰り返し「ねじれ」と呼んでいる、「日本の景気回復下の株高、円安」という傾向はどうなるのでしょうか。日銀の慎重なスタンスからは、前回金融緩和時期を急いだような失敗はなさそうです。景気は回復基調を続けるという見方は、恐らく正しいと思います。株価もそれに応じて当面は強気が支配する相場展開になりそうです。そして株価上昇によってリスク許容度の上がった資金が為替リスクを取って海外資産に向かうというサイクルは、今年第1四半期くらいは継続するでしょう。

しかしこの動きにも落とし穴があります。それは、海外への投資の背景に、日本政府が円安を容認するだろうという暗黙の前提があることです。もちろん「円安が悪い」という発言は今のところ聞かれません。しかしドル/円が120円を超えた時の動きに対し、「急激な変動」に言及する発言が久々にありました。これは対外的配慮としてだけでなく、今回の景気回復局面で日本のGDPに占める外需貢献度が低下していることを考えると、この発言は重みをましてきます。つまり、内需主導の景気回復、それは米国始め海外諸国の利益にもなることですが、その場合は行き過ぎた円安は有害であるためです。
介入は円売りだけではありません。

「円安」過信は禁物

こうしたことに注目すると、日米金利差、米国景気の好調さ、そしてオイルマネーを始めとする国際投資資金の米国に対する安心感から、ドル高円安傾向は今年第1四半期の間は続くでしょう。ドル/円が再び120円超え、さらに125円を目指す展開が予想されます。一方米国の住宅市況のリスクが強く意識される時期は読み難いところがありますが、市場関係者の心中にはすでに爆弾として頭をもたげています。また、中国の対米黒字が高水準を保つ中で、昨年「自由化」したはずの元が年末までに僅か0.5%しか上昇していないことが政治的に利用され、ドル安につながりやすく、それは同時に円が買われる局面ももたらすことになります。

したがって、今のドル高円安が今年を通じたトレンドになることはないと思います。米国景気が急に息切れする可能性は低く、ドルの堅調感は失われないものの、中間選挙に向けて、「為替」は共和党・民主党ともに責任を外国に転嫁できる恰好の武器になりやすいということが重要なポイントになりそうです。さらに、日本サイドでも円安を無条件に歓迎しない可能性があるため、円安に歯止めがかかるリスクを、今年はより多めに見積もる必要があります。なお、外国から受けのいい小泉首相が退陣することは、後任についての観測が相場の材料となる場面があるかもしれません。
posted by Globe at 02:40 | TrackBack(2) | 為替相場推移 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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