2007年02月28日

誰がキャリーを解消するのか

2007/2/28


「中国発世界同時株安」に為替マーケットが揺れました.

 あちこちでヘッジファンドが活躍したことになっています.「中国株式市場の規制導入でヘッジファンドが中国株を売った」「ヘッジファンドが円キャリートレードの解消に走った」...

 株はともかく,ヘッジファンドの為替ポジションについてはシカゴIMMの『非商業部門』が目安になりますが,今回の動きについては来週にならないとわかりません.ただし,キャリーポジションを持っていたのはヘッジファンドだけではありません.

 今,一番心配なのが日本の個人投資家です.特に「スワップ狙い」のFX.彼らこそ,日本の一大キャリートレード勢力です.昨年のFX人口急増には,「金利差分は取れる」という安心感(とそれをことさらに強調する勧誘)が大きく影響していました.
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2007年02月27日

「ドル売り」か「円買い」か

2007/2/27


 ドル/円がまた118円台まで下がってきました.

 少し以前から,米国のサブプライム(信用力が劣る貸出先への)住宅ローンの焦げ付きが増えていると報じられていましたが,これが注目を集めてドルが全面安の様相です.対ユーロでもドルは売られていますが,対円の動きの方が大きいので,ユーロ/円も157円台半ばを割り込んでいます.

 いったん動きが出ると,必ずそれを後押しするものが横から出てくるのが相場の常です.今回も「参院選前に日銀の追加利上げの可能性」という観測が出始めています.これにはまだ「どうせ提灯をつけているだけだろう」「万一本当でも,まだ超低金利に変わりはない」という見方が強いですが,あまり無視しない方がいいと思います.

 福井総裁のたびたびの発言の中で,利上げは「慎重に」という部分ばかりが注目されていますが,一方で現状は「正常でない」状態だと繰り返していることも事実です.先日は「できるだけ早く正常に戻したい」とも発言していました.前にも書きましたが,福井総裁のこの「自信」を市場が感じ取って確信した時,金利差は今よりずっと小さな意味しか持たなくなります.
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2007年02月21日

日銀,利上げ決行

2007/2/21


 政府だけでなく,民間エコノミストの間にも不思議と慎重論が強かった利上げを,日銀は今日行ないました.会議中にNHKが「福井総裁,利上げを提案」と報じたのを受けてしばらく119円台に入りましたが,正式発表後は反転し,120円台後半まで円が売られています.福井総裁が会見で「円安がどれも不規則なわけではない」「ヘッジファンドのもぐらたたきをしてはいない」など,今後の利上げに慎重,かつ円安容認ともとれる発言をしたことに,市場が反応しているのでしょう.

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2007年02月18日

米欧の「円安」認識はどれほど違うのか?

2007/2/18


 2月9日・10日にエッセンで行われたG7の後,ドル/円が122円台,ユーロ/円が159円寸前まで円安となったものの,円売りはいったん落ち着いています.日本の10-12月GDP発表あたりを境に円はほとんど全ての通貨に対して上昇に向かい,16日の海外では118円台を付けました.

 前回も触れた通り,バーナンキ証言を境にドルは下落基調となっていますが,「思ったよりタカ派的でなかった」というドル売りは,多分にポジション調整の口実のようです.証言には景気への自信とインフレに対する警戒感が表れており,素直に読んだ上で米国経済の順調さを考える限り,このドル売りには早晩見直しがありそうです.

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2007年02月15日

バーナンキ&GDP

2007/2/15


昨日のバーナンキ証言の内容に対する為替市場の反応は,予想よりもタカ派色が薄かった,つまり金利の先高観が後退したという理由で,ドル売りとなりました.ユーロ/ドルは重かった1.30ドル台を越えて今日は1.31ドル台前半です.

ただし証言内容は,米国景気がFRBの予想通り巡航速度で成長していることも裏付けています.マーケットが懸念していた住宅市場の不安も後退していて,一概にドル売り材料とだけは言えません(米国株にとってはいわば「両手に花」でした).

一方,日本のGDPは予想外の高い成長でした.このポジティブサプライズに,ドル/円は何度か119円台に入り,下押しの勢いはまだないものの120円を挟む水準で次の動きをうかがっています.

日銀が今月の金融政策決定会合で利上げをする可能性が高まった,ということが話題になりがちですが,それだけなら大した円高要因ではありません(これは何度も言ってきた通りです.金利差に注目している相場で,0.25%の利上げ,まして次がいつになるかわからないのでは,影響は知れています).

今日のGDPは,1つ前の7−9月期が落ち込んでいた反動という点を差し引いても,国内消費が改善していることを示しました.「企業活動が消費に波及してこない」と利上げをためらわせてきた足かせが外れつつあります.政府は足元の指標がまだ弱いと牽制しますが,日銀としては,景気が概ねシナリオ通り堅調になってくれば,各月の波にはこだわらない方針です.つまり,このタイミングで利上げをしなければ,いよいよポリシーの有無が問われてしまうため,今月の会合では利上げに踏み切る可能性が大きくなりました.

今月日銀が利上げをするとすれば,その為替相場に与える意味は金利差ではなく,日本経済と日銀への自信の方が大きいでしょう.それはこれまでの円安トレンドが区切りを迎え,現状程度の水準を上限とする新たなレンジ相場のスタートになると思われます.
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2007年02月02日

日経朝刊5面

2007/2/2


米国についてはずっと予想してきた通りの展開です.FOMCは31日に予想通り金利を据え置いただけでなく,住宅市場に「ある程度の一時的な安定化の兆し」との声明を発表しました.その割りにドルの動きが鈍かった背景には,9日のG7で為替,特に円安が協議されるのではという警戒感があります.

そこで,今日の日経新聞朝刊5面にたまたま並んでいた記事に注目.
「ヘッジファンド主要議題に G7会議」
「日銀総裁 消費やや伸び悩み」

ヘッジファンド規制の可能性に言及した記事には,「ユーロ高円安」に触れたサブの見出しがあります.しかし為替協議と言っても,かつてのように円売り介入による「不当な」円安ではないため,「柔軟な為替制度」のような切り口は使えません.そこで「ヘッジファンドが市場に与える影響」に焦点が当たります.世界的な円キャリートレードのポジション拡大に寄与しているヘッジファンドのリスクを指摘することによって,円安進行への懸念を示すことになります.

日銀は,前回「強気→据え置き」が政府に屈したためとの印象を与えたため,今月同じことは繰り返せません.そこで福井総裁は今月の金融政策決定会合まで,強気な発言は決してしないでしょう.結果的に利上げを見送るとしてもあくまで独自の判断だと市場にアピールしなければなりません.

G7で欧米から「日本経済は回復基調.利上げに躊躇は不要」といった形で日銀への後押しがあるかもしれません.過去何度も日本は「外圧」をきっかけに動いてきました.政府・日銀間の膠着状態を,どちらの顔も立てながら解決するのは案外こんなことかもしれません.

とは言え,日米金利差が急速に縮まるわけではなく,逆に対ユーロでは当面拡大しそうです.円高方向への大きな反転は見込めません.ただ,ユーロ/円についても,年初に高値をつける局面は追うべきでないという見方を維持します.
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